著作権ビジネスと著作権等管理事業

 2015年10月、音楽事業大手のエイベックス・グループ・ホールディングス㈱が、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)に任せていた約10万曲の著作権管理を、同社系列の㈱イーライセンス(e-License)に移す方針であると報道されました。

 JASRACは、国内作品と外国作品とで合計約330万曲の著作権管理を行っており、音楽の著作物(楽曲や歌詞。以下、単に「音楽」とします。)に関する著作権管理事業では圧倒的なシェアを持ちます。

 しかし、音楽の著作権管理事業者はJASRACだけではなく、2015年10月時点で国内に8団体ほどあります。e-Licenseもその1つであり、著作権管理事業者ごとに手数料や使用料といった管理事業の内容が、「管理委託契約約款(対著作権者)」や「使用料規程(対利用者)」として定められていますから、音楽の著作権者や利用者は、それらの内容を吟味して自身にふさわしい著作権管理事業者を選択して管理を委託し、また、音楽を利用することができます。

 このように、JASRACもe-Licenseも音楽に関する「著作権管理事業者」ですが、「著作権等管理事業」とは、著作権者や著作隣接権者に代わり、それらの著作物等を利用する者に対して利用許諾(使用料の徴収)等を行い、又は著作権や著作隣接権そのものを行使する事業を意味します。そして、こうした著作権等管理事業を行う団体であって、文化庁長官による登録を受けたものを「著作権等管理事業者」といい、音楽に限らず、「言語の著作物」や「映画の著作物」など、著作物ごとに著作権等管理事業者が存在します。

【著作権等管理業者検索サイト】

http://chosakuken.bunka.go.jp/ejigyou/script/ipkenselect.asp 

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※①の管理委託には、著作権は移転させず利用許諾の代理のみを委託する方法と、著作権そのものを信託的に移転させ、利用許諾に限らず、著作権侵害に対する対応など著作権の行使そのものを委託する方法があります。

 著作権等の管理事業自体は誰でも行うことができますが、「著作権等管理事業者」となるには、会社など「法人」であって、著作権等管理事業法が規定する一定の書類を添えて文化庁長官に申請した上で、その「登録」を受けなければなりません。

 しかし、「許可制」ではないため、著作権等管理事業法が規定する一定の要件を満たせば、文化庁長官の登録を受けることができます。

 著作権等管理事業者は、管理事業の内容を定めた「管理委託契約約款」を定めて文化庁長官に届け出ることを要し、管理委託をしようとする著作権者等との契約は、この約款に基づかなければなりません。

 また、著作権等管理事業者は、その管理する著作物を他人に利用させる場合の「使用料規程」を定めて文化庁長官に届け出ることを要し、その概要を公表しなければなりません。

 これらを踏まえると、著作権者は、自らの著作物をビジネスに結び付けたい場合、自身が著作権を行使(管理)する方法のほか、こうした著作権等管理事業者に管理を委託する方法があります。

 また、自らは著作物を創作しなくとも、「著作権等管理事業者」になるなど、著作権者のエージェント(代理人)として著作権ビジネスに参加することができます。

 一方、「利用者」としての立場としては、個別に著作者から利用許諾を受けることが困難な場合など、著作権等管理事業者が管理する著作物であれば、許諾を受けるのが簡単で、かつ、使用料も明確であるといったメリットがあります。(塩島)