店舗内におけるBGM利用

 2015年6月、音楽著作権管理団体(文化庁に登録された著作権等管理事業者)が、その団体が管理している音楽を無許可でBGM(バック・グラウンド・ミュージック=店内や施設内で背景として流れる音楽)として利用しているとして、全国の美容院や飲食店など258施設に対し、全国の簡易裁判所に民事調停を申し立てたと発表しました。

 音楽の著作物(楽曲や歌詞)の著作者には、著作権法により、著作権の一種(支分権)である「演奏権」が認められます。

 そして、この著作権者に代わり、「著作物の利用許諾」や「利用料の徴収」など、著作権の管理を行う団体が、「著作権等管理事業者」です。

 今回は、「演奏権」と「著作権等管理事業者」について解説します。

 

(1)演奏権とは?

 著作権法上、演奏権とは、「音楽の著作物」を、公衆に直接聞かせることを目的として(これを「公に」とも言います。)演奏する権利であり、著作権者が専有する権利です。

 著作権法上の「公衆・公に」には、「不特定多数」のみならず「特定多数」も含まれます。また、「演奏」には、「著作物の演奏で録音されたもの(音楽CD等)を再生すること」も含まれます。

 つまり、ライブ(生)演奏で他人の音楽(楽譜等)を利用する場合のみならず、他人の楽曲が録音された音楽CDを利用する場合でも、店内や施設内で聞かせる目的があれば「演奏権の問題」となり、著作権者の許諾を得るか、又は著作権者に相当額の利用料を支払う必要があります。➝この利用許諾先や利用料の支払先が分かりにくいため、これを代行する「著作権等管理事業者」が存在します。

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(2)店舗内利用は「私的使用」には該当しません!

 音楽の利用において、よく聞かれるのが「私的使用目的ならば、自由に音楽CDを店内で流してもいいのでは?」という誤解です。

 確かに、「個人的又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とする場合」には、著作権法上、本や音楽など、「他人の著作物」を自由に複製(コピーやダビング)することができます。しかし、その用途は「個人的や家庭内など私的空間での利用」に限られており、店舗など「営業シーン」で利用する場合には、こうした自由な複製は認められず、また、自分で録音(ダウンロード・ダビング)した他人の楽曲を利用することもできません。

 

(3)著作権等管理事業者とは?

 著作権者や著作隣接権者から権利の移転(信託)又は著作物の管理委託を受け、著作権者等の代わりに著作物の利用許諾や使用料の徴収等を行う団体であって文化庁で登録を受けたものを言います。

 著作権等管理事業者(以下、「管理事業者」とします。)は、「音楽」や「本」など著作物ごとに存在しており、文化庁のホームページから検索することができます。

 

(4)安心してBGMを利用する方法

 その音楽の著作権者から直接、利用許諾を受けるのが一番ですが、実際には困難です。現実的な対応としては、上記管理事業者が管理している音楽について、当該管理事業者から利用許諾を受けるか、又は当該管理事業者から利用許諾を受けた音楽を取り扱っている配信サービス(有線音楽放送など)を利用する方法があります。

 音楽の著作権者は、「著作権料(印税)」を収入源として生活し、また、新たな創作活動の支えとしています。

 著作権者や管理事業者が、「著作物を利用しやすくすること」も大切ですが、同時に、「いい音楽、好きな音楽には、それ相当の対価を支払ってあげよう」という、利用者側の理解も大切です(塩島)。