原作小説のドラマ化と著作者人格権

2015年4月、原作小説をもとに放送局がドラマ化する場合に、「その脚本を制作するにあたり原作小説の改変がどこまで許されるのか?」を焦点とした裁判の第一審判決が東京地方裁判所で下されました。

 これは、原作小説の著作者である作家(A氏)から著作権の管理委託を受けていた出版社(B社)が、放送局(C局)に「小説をドラマ化するための利用許諾」を与えていたところ、A氏が、C局の制作した脚本に承認を与えず、その結果B社がC局との利用許諾契約を一方的に解除したため、ドラマの制作中止に追い込まれたC局が、その損害賠償をB社に求めた事案です。

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 判決として、裁判所は、「A氏からの脚本に対する承認がない以上、B社とC局との利用許諾契約が成立したとは言えない」などとして、C局の請求を棄却しました(C局の敗訴)。
「小説の脚本化(ドラマ化・映画化)」は、「二次的著作物の創作」に該当します。そして、二次的著作物を創作する場合には、通常、原著作物の改変を伴います。
したがって、小説など「原著作物」の「著作権(翻案権等の財産権)」のみならず、「著作者人格権(同一性保持権)」にも影響するため、「著作権に関する許諾のみ」では足りず、著作者のみが有する「著作者人格権」にも留意しなければなりません。

 今回のケースは、二次的著作物の創作に当たり、C局は、B社から「原作小説の利用」という「著作権」については利用許諾を得たものの、「著作者人格権」に影響する「原作小説の改変」については、改変後の脚本の内容につき、著作者であるA氏からの承認を得られませんでした。
 C局側は、「原作小説をもとにドラマ化する場合には、その半分程度は脚本において書き直す(改変する)のが一般的」と主張しました。
 しかし、裁判所は、「原作品の主題(中心的内容)を無視するような、著作者の意思に反する内容での二次的著作物の創作はできない」という判断を下したのです。(塩島)