著作権保護期間が70年に伸びると損か得か?

2015年2月のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)主席交渉官会合で、参加12ヶ国の著作権の保護期間について、著作物の公表後又は著作者の死後から原則70年とする方向で調整が進むことになりました。

現行の日本の著作権法によると、日本における著作権の保護期間は、「映画」のみ公表後70年間で、その他の著作物は、原則として50年間(著作者の死後50年間又は公表後50年間)です。

一方、外国を見てみると、アジアでは日本と同じ50年間が多いものの、アメリカやヨーロッパでは原則70年間とされ、メキシコなど原則100年間とする国もあります。

TPPでは、加盟国の経済連携の強化・標準化のため、様々な分野で規格の統一化が検討されており、その中に「知的財産の取扱い」も含まれています。これを受け、今回の会合では、著作権の保護期間を「70年間で統一」という方向性が示されました。

それでは、著作権の保護期間が50年間から70年間に伸びることは、日本にとって損と得、どちらになるのでしょう?

 

 

これはなかなか難しい問題であり、すでに加盟している「条約」も含めて考える必要があります。

「損」と考える場合、「外国(外国人又は外国法人名義)の著作物であっても、日本では50年間保護すればよく、その後は自由に使えるのに(これを「パブリックドメイン」といいます。)、今後は70年間保護しなければならない」という理由が挙げられます。

一方、「得」と考える場合、「ベルヌ条約(著作権に関する有名な条約です。)の相互主義により、外国の著作物については短い本国法が適用されるため、保護期間を70年とする外国であっても、日本(日本人又は日本法人名義)の著作物は(日本法が適用され)50年間しか保護されない。日本も保護期間を70年間とすれば、外国においても70年間保護される」という理由が挙げられます。

つまり、「外国の著作物を利用する」という観点からは、「日本で保護すべき期間が長くなる=損をする」という結論となり、「日本の著作物を外国に広める(外国で利用してもらう)という観点からは、「外国で70年間保護される=得をする」という結論となります。

なお、日本は70年前の第二次世界大戦の敗戦国として、著作権の保護期間には「戦時加算」がされており、現在でも、アメリカなど戦勝国側の著作物に対しては、50年間の保護期間に加え、戦争期間(開戦~サンフランシスコ平和条約発効まで)の約10年間分が加算されています。

このように、日本における著作権の保護期間(計算方法)は様々であり、果たして70年間で統一されるのか、TPP交渉の結果が気になります。(塩島)