「著作権移転の対抗要件(登録)」に関する著作権法改正

相続等による著作権移転も「登録」が対抗要件に!

 2019年7月1日より著作権法が改正され、従来は「譲渡による著作権移転(特定承継:注)時のみ」に対抗要件とされていた「登録」が、以下の場合(一般承継時:注)にも対抗要件となります(改正著作権法77条1号。出版権と著作隣接権の移転も同様。88条1項1号、104条)。

(参考)文化庁「民法改正(相続関係)に伴う著作権法の改正」
    → http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/minpou/

①遺産分割等により法定相続分とは異なる相続分で相続人に著作権が移転する場合
→相続人間の遺産分割や被相続人(死亡した人)の遺言により、相続人中の1人に著作権を単独相続させる場合など。

②会社分割により、事業の移転とともに著作権も承継会社又は新設会社に移転させる場合

 今回の改正は、民法(相続関係)の改正に伴うもので、「不動産の相続と登記(対抗要件)の関係」が過去の最高裁判例を踏まえ改正されたことに伴い、不動産登記と類似する制度である著作権の登録についても同様の改正がなされました。

 具体例で説明すると、上記①について、財産権である著作権は相続の対象となり、著作権者 (例:作曲家A)の死亡によりAが有していた著作権(例:音楽印税)は当然に相続人(例:Aの配偶者Bと子Cの2人)に相続されますが、法定相続分(本例ではB・C=2分の1ずつ)で相続する限りは、登録は必要ありません。
 しかし、B・C間の遺産分割やAの遺言により「Bのみ」が著作権を相続するときは、その旨(単独で著作権を相続すること)を第三者(例:Cの相続分を差し押さえた債権者D)に対抗(主張)するためには、B単独名義とする著作権移転の登録を文化庁等で受ける必要があります。

 これは、上記の債権者Dのように、第三者からは、相続人間における相続分の変動は知ることが困難であるため、相続債権者の利益や第三者との取引の安全を確保すること(Bのみが著作権者であることが確認できること)を目的としています。
 なお、上記②について、相続以外でも「移転財産に著作権が含まれているかどうか」を第三者からは知ることが困難な「会社分割に伴う著作権の移転(A社が有していた著作権につき、会社分割に伴うB社への移転)」も、同様に登録が対抗要件となります。

 著作権は、登録なくして発生する身近な知的財産権ですが、一定の事実を明らかにするため「登録制度」も著作権法に規定されています。特に著作権ビジネスに携わる方は、「著作権の移転は、登録が対抗要件となること」を、この機会に押さえておきましょう。(塩島)

(注)契約等により特定の財産のみが移転することを「特定承継」といい、相続等により一切の権利・義務が移転することを「一般承継(又は包括承継)」といいます。

★著作権登録制度について、詳しくはこちら
→ www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/toroku_seido/
★「著作権移転と対抗要件」など、著作権法の規定を正しく理解するためには「ビジネス著作権検定」がお勧めです。詳しくはこちら 
→ https://www.biz-shikaku.com/mincho/certification