著作権等の保護期間の延長確定!TPP11が年内発効

TPP11の概要と経緯

2018年10月31日、米国を除く日本など環太平洋連携協定参加11カ国による新協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定。いわゆる「TPP11」)が「2018年12月30日に発効する」旨の新聞報道がありました。

TPP11は、「署名した11カ国のうち6カ国が国内手続を終えてから60日後に発効する」とされているところ、オーストラリアが10月31日に批准(国家として条約を正式承認)したことで6カ国目の国内手続が完了したことから、年内の2018年12月30日に発効する運びとなりました。

ご案内のように、TPPは、工業製品や農産物に対する関税の軽減・撤廃(市場開放)や海外投資など企業活動の促進等を柱とする「経済連携協定」であり、この中には「知的財産権」についての保護・取扱いの統一化等も含まれています。

当初、米国を含む12カ国によるTPP協定(環太平洋パートナーシップ協定)が2016年に署名され、これを踏まえた関係法の整備法(著作権法改正を含みます。)が日本でも成立していましたが、この協定が未発効のままトランプ大統領下の米国が2017年に離脱を表明したため、昨年末時点では「発効が困難」とされていました。

しかし、米国を除く11カ国による協定発効へ向けた協議が行われ、2018年3月に11カ国が(一部の内容を除き)協定の発効に合意。その中に「知的財産権分野の発効」も盛り込まれていました。

TPP11は、日本においては2018年6月に国会で承認され、当初のTPPを踏まえた著作権法の改正も含めた「整備法改正法」も、「TPP11の発効時に施行すること」として成立しました。

著作権法の主な改正点

TPP11の発効により影響を受ける重要な著作権法(以下「改正法」とします。)の改正点は、以下の通りです。

1.保護期間の延長(改正法51条2項、52条、53条)

現行の著作権法では、映画の著作物(注1)を除き、著作者の死後又は著作物の公表後「50年間」とされている著作権の保護期間(存続期間)が「70年」に延長され、また、「実演」及び「レコード(音の原盤・マスター)」に対する著作隣接権についても、その保護期間が「50年間」から「70年間」に延長されます(放送事業者及び有線放送事業者の著作隣接権の保護期間(50年間)には変更なし)。

なお、以上の改正(延長)規定は、改正法の施行日時点で「著作権等が保護期間内にある著作物」に適用されます。

2.著作権等侵害行為に対する罰則の一部の非親告罪化(改正法123条2項)

現行の著作権法では、「著作権」など財産権の侵害に対する刑罰規定は、「(被害者から)告訴がなければ、公訴を提起(刑事裁判)することができない」という「親告罪」とされています。

しかし、改正法の施行後は、①対価を得る目的等で、②有償の他人の著作物を、③原作のまま複製して譲渡又は公衆送信し、④これにより著作権者等が得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合(つまり海賊版の販売又はインターネット配信行為)には、「非親告罪」として(被害者からの告訴不要で)刑罰規定の適用対象となり得ます。

このほかにも、「技術的利用制限手段(アクセスコントロール等)の回避を行う行為」の「みなし侵害行為」への追加(改正法113条3項)や、現行法では音楽CD(商業用レコード)のみが対象となっている(放送又は有線放送時の)「二次使用料を受ける権利」の「インターネット配信(送信可能化)音源への拡大」(改正法95条1項、97条1項)等が改正法に盛り込まれています。

ビジネス著作権検定など試験対策のみならず(注2)、コンテンツビジネスなど著作権に関係する業務に携わる方は、2018年の年末から2019年にかけて続く著作権法の改正点に注意して下さい。(塩島)

(注1)映画の著作物の保護期間は、現行法でもすでに「公表後70年間が原則」とされています。
(注2)今回の著作権法等の改正点は、ビジネス著作権検定では2019年2月以降、知的財産管理技能検定では2019年6月以降に実施される試験への出題から影響する見込みです。


著作権法の改正点は、当サイト「みんなの著検」が主催するビジネス著作権検定上級対策セミナー(無料。11月16日)や、ビジネス著作権検定上級対策講座(団体試験付。12月1日、8日)でも取り上げます(いずれも塩島先生が担当)。

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