出版業界

【1】 出版権を設定しても、著作権は移転しません!

日本の著作権法によると、著者(著作権者)の原稿に対し出版社が出版権を設定しても、その原稿の著作権は出版社に移転しません。したがって、出版契約(出版権設定契約)をしても、原稿の著作権は著者に留保されます。 もっとも、出版契約後には、その原稿をもとに出版する権利は出版社が専有するため、著者といえども「同一原稿にもとづき自ら出版すること」や、「同一原稿につき重ねて他の出版社と出版契約をすること」はできなくなります。 なお、このことは、文章による原稿に限らず、写真集や画集に関する出版契約についても同様です。

【2】 出版権は以下の2種類があります! pic_01

平成27年1月1日より改正著作権法が施行され、以後に締結される出版契約(出版権)の内容は、「本やCDロム(デジタルデータ)として出版する権利」と、そのデジタルデータを利用した電子書籍として「インターネット配信する権利」の2種類となります。  どちらの権利(双方又は一方)を目的とするのかは、著者と出版社との出版契約により決めることになります。したがって、各権利ごとに異なる出版社と(A社は本による出版権、B社はインターネット配信による出版権と区別して)出版契約をすることもできます。

【3】 「著作者人格権」に注意!

原稿に出版権を設定しても、著者が有する「著作者という地位」には影響せず、著作者が有する「著作者人格権」にも影響しません。したがって、出版社側において著者名を変更し、又は原稿内容を(明かな誤字等を除き)修正することはできず、著者の意思を確認・尊重しなければなりません。

【4】 雑誌など「編集著作物」の注意点!

掲載する記事や写真など、出版社側において素材を選択し、又は編集(配列)方法に創作性がある著作物(雑誌等)を「編集著作物」と言います。 前述のように、出版社が、その素材とする記事や写真等に出版権の設定を受けても、それらの著作権は出版社に移転しません。つまり、編集著作物(全体)の著作権は出版社に帰属しますが、その素材とした記事や写真の著作権まで出版社に帰属するわけではありません(著作者人格権も同様)。 したがって、出版社が雑誌の内容を電子書籍としてインターネットで配信し、又は雑誌の内容をホームページなどで個別に紹介するには、その点を含め、各素材の著作権者と出版契約又は利用許諾契約をし、もしくは著作権自体を移転してもらう(著作権譲渡を受ける)必要があります。