SNS上のコンテンツ利用と著作者人格権

★リツイートにおける著作者人格権侵害を最高裁が認定!

 2020年7月、最高裁判所は、「他人の著作物を無断複製したツイッターのリツイートに対しても、著作者人格権の侵害が成立する」旨の知的財産高等裁判所の判決を支持し、
当該サービス運営事業者(米国ツイッター社)にプロバイダ責任制限法に基づく「発信者情報の開示」を命じる判決を下しました。

 今回は、この事件の概要と最高裁判決のポイントをご紹介します。
(参考)最高裁判所「発信者情報開示請求事件(令和2年7月21日判決)
(原審)知的財産高等裁判所「発信者情報開示請求控訴事件

1.事件の概要

① 写真家A(原告)は、自身が撮影した写真Xを自身のWebサイトにⒸマーク等の文字を付記し掲載していた。

② 写真Xが、インターネット上の短文投稿サイト「ツイッター」において、氏名不詳者(B)により無断掲載された。

③ 氏名不詳者(C)により無断で上記②のツイートのリツイートがされた。
その際、写真Xが自動的にトリミング(改変・削除)された。

 すなわち、原告(A)が、その撮影に係る写真著作物Xの著作権(公衆送信権、複製権等)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権等)をツイッター上で侵害されたと主張し、
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称:プロバイダ責任制限法)4条1項に基づき、
上記②と③それぞれについて、(その後の損害賠償請求等を目的として)BとCが当該アカウントにログインした際の発信者情報の開示を、
当該サービス(ツイッター)の運営会社等(米国ツイッター社とツイッタージャパン社)に求めた事案です。

2.最高裁判決のポイント

 まず、第一審となった地方裁判所(東京地方裁判所)の判決では、
①Bの行為につき(写真Xの)「無断複製による公衆送信権の侵害」を理由として、
②米国ツイッター社にBの発信者情報の開示が命じられました(運営事業者ではないとしてツイッタージャパン社に対する請求は棄却)。

 次に、控訴審(知的財産高等裁判所=東京高等裁判所)の判決では、(上記東京地裁の判決内容に加え)、
③Cの行為につき、(リツイート時のシステム仕様の都合であっても)トリミングされた写真X画像の欠損(改変・削除)が「Aの有する著作者人格権(氏名表示権と同一性保持権)の侵害にあたる」とし、
④米国ツイッター社に(Bに加え)Cの発信者情報の開示も命じられました。

 そして、この控訴審判決を不服として上告を受けた最高裁では、
⑤リツイートしただけのCにも、著作者人格権(氏名表示権等)侵害が認められる、
⑥米国ツイッター社は、Cの発信者情報も開示せよ、という判断の下、控訴審判決を支持する「上告棄却」の判決が下されました。

 本件事案は「発信者情報開示」を目的とした裁判ですが、
その前提となる(他人の著作物の無断利用者による)著作権侵害のみならず、
「著作者人格権」についても、著作権侵害(違法行為)となる他人の著作物の利用においては、利用者が意図しない(システム仕様上の)トリミング等についても、著作者人格権侵害が成立する(著作権法20条2項4号が許容する「やむを得ない改変」には当たらない)と判断された点(それも最高裁が認めた点)で、
SNSサービス運営者及びその利用者双方にインパクトを与えることになりました。

 今回の判決は、「著作者自身(本人)による投稿」や、それに対するリツイートに直ちに影響するものではありません
(あらかじめ、SNSサービスの利用規約・利用条件に基づいて投稿・利用している場合)。

 しかし、他人の著作権を侵害する(違法な)コンテンツを含む投稿については、
当該投稿者に著作権侵害が成立することは勿論のこと、それに対しリツイートした人にも、
たとえシステム仕様の都合であっても「著作者人格権の侵害が成立し得る」という点で、注意が必要となります。(塩島)

 

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