インターネット海賊版対策等に関する改正著作権法が成立!

★リーチサイト対策のほか、違法ダウンロード対象コンテンツが拡大!

 2020年6月、「インターネット上の海賊版対策の強化」及び「違法ダウンロード対象コンテンツの拡大」等を柱とする改正著作権法その他、著作権に関する複数の法律を一括して改正する「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(以下、「本法」とします。)」が成立。2020年10月1日以降、順次施行されます。

 このうち「改正著作権法」について、今回の改正ポイントは、以下の通りです。
(参考)文部科学省
 「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」

1.リーチサイト対策(2020年10月1日施行)

 侵害コンテンツへのリンク情報等を集約したウェブサイトを「リーチサイト」と定義した上で、そのリンク情報を掲載する「リーチサイト運営行為等」を刑事罰の対象とし、また、違法にアップロードされた著作物(侵害コンテンツ)への「リンク情報を(故意に)提供する行為」を刑事罰及び民事的措置の対象とします(改正著作権法113条2~4項、119条2項4号、5号、120条の2第3号等)。

なお、今回の改正前から、侵害コンテンツ(無断複製したマンガ等)のアップロードやネット配信は、その行為自体が違法(複製権及び公衆送信権等の侵害)となります。

規制対象

規制内容

サイト運営者
アプリ提供者
(注)

①刑事罰(5年以下の懲役又は500万円以下の罰金。双方併科も可)
 →但し、親告罪(被害者の告訴が必要)とされる。

②民事的措置(差止請求・損害賠償請求等の対象)
 →但し、侵害コンテンツへのリンク提供と認識しつつ放置していた場合。

リンク提供者

①刑事罰(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。双方併科も可)
 →但し、親告罪とされる。

②民事的措置

(注)自ら直接的にサイト運営・アプリ提供を行っていない「プラットフォーム・サービス提供者(例:Google)」は、原則として規制対象外です。

2.違法ダウンロード対象コンテンツの拡大(2021年1月1日施行)

 今回の改正前から、ネット上で違法配信されている「映像(動画)や音楽」は、たとえ私的使用のためでも、違法配信と知りつつダウンロード(録画又は録音)することが禁止されており、また、正規に販売又は有償提供されている映像又は音楽(有償コンテンツ)が違法配信されている場合に、違法配信と知りつつダウンロードする行為は、刑事罰の対象ともなっています(著作権法30条1項3号、119条3項)。

 今回の改正では、この規制の対象となる著作物(コンテンツ)の範囲が拡大され、映像や音楽に限らず、広く「写真(静止画像)、マンガ、文章やコンピュータプログラム」についても、違法配信されているものは、たとえ私的使用のためであっても、違法配信と知りつつダウンロード(複製)することが禁止される一方で、侵害とされる要件及び刑事罰の適用要件につき、前記「映像や音楽のダウンロード」とは異なる要件が付加されました(改正著作権法30条1項4号、2項、119条3項2号、5項等)。

対象著作物

規制内容

違法配信された
映像、音楽

(1)私的使用のためでも、違法配信と知りつつダウンロードすることはできない。
 →「複製権等の侵害」となり、民事的措置(差止請求等)の対象となる。

(2)有償コンテンツが違法配信されている場合、違法配信と知りつつダウンロードする行為は、「刑事罰」の対象となる。
 →2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(双方併科も可)但し、親告罪。

違法配信された
著作物全般
(映像・音楽を除く)

(1)私的使用のためでも、違法配信と知りつつダウンロードすることはできない。
 →「複製権等の侵害」となる。但し、以下の行為は許される。

①軽微な構成部分(マンガの1コマなど)のダウンロード。
②当該著作物の二次的著作物・パロディーのダウンロード。
③スクリーンショット時の写り込み等(アニメキャラのアイコンの軽微な写り込みなど)
④著作権者の利益を不当に害しない特別の事情があるとき(犯罪の証拠や防犯目的のためのダウンロードなど)

(2)有償コンテンツが違法配信されている場合、違法配信と知りつつ、かつ、継続又は反復してダウンロードする行為は、「刑事罰」の対象となる。
 →2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(双方併科も可)但し、親告罪。

 

3.その他の主な改正点

(1)不随対象著作物(写り込み等)の対象拡大(改正著作権法30条の2。2020年10月1日施行)

 改正前は、「写真撮影・録音・録画」を行う際に「(他人の著作物が)写り込んだ場合」のみが、著作権制限規定(=当該他人の著作物を自由に利用できる場合)として認められていたところ、デジタル化・ネットワーク化の進展などに対応するため、「放送、インターネット生配信やスクリーンショット」などを行う際の写り込み(複製及び伝達)も幅広く認めるなど、この規定の対象範囲が拡大されました。

(2)行政手続に係る著作権制限規定の整備(改正著作権法42条2項。2020年10月1日施行))

 改正前は、「特許審査手続等においては、迅速・的確な審査等に資するよう、権利者の許諾なく必要な文献等の複製等ができる」とされていたところ、①種苗(しゅびょう)法に基づく植物の品種登録、②地理的表示法(GI法)に基づく地理的表示の登録についても、同様の措置が可能とされました。

(3)著作物等の利用許諾に係る権利の対抗制度(当然対抗制度)の導入(改正著作権法63条の2。2020年10月1日施行)

 著作権者から許諾を受けて著作物を利用する権利(ライセンス)に関し、著作権が譲渡された場合の譲受人(新著作権者)などに対しても対抗すること(つまり、利用の継続を求めること)ができることとされました。※特許法等における「通常実施権」と同様の規定。

(4)アクセスコントロールに関する保護の強化(改正著作権法113条7項等。2021年1月1日施行)

 コンテンツの不正利用を防止する「アクセスコントロール」の一つである「ライセンス認証」を不正に回避する行為も、「著作権侵害とみなされる行為」に含むこととされました。

 なお、今回の改正では、「違法ダウンロード規制の拡大」をはじめ、年齢や職業を問わず、私たち個人ユーザーに直接関係する改正点も多く、そのため今回の法改正にあたり、本法には以下の「附則」が設けられています。

(附則2条2項)→国民への普及啓発と教育の充実
 国及び地方公共団体は、未成年者があらゆる機会を通じて特定侵害行為(違法ダウンロード)の防止の重要性に対する理解を深めることができるよう、学校その他の様々な場を通じて特定侵害行為の防止に関する教育の充実を図らなければならない。

(附則3条)→事業者による防止措置
 著作物(著作権の目的となっているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示する事業者は、特定侵害行為を防止するための措置を講ずるよう努めなければならない。

                                                         以上

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