公正取引委員会が知的財産権を対象とした「優越的地位の濫用行為」等に関する実態調査報告書を公表

「優越的地位を利用した知的財産の吸い上げ」を調査

 2019年6月、公正取引委員会より「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書(以下、「報告書」とします。)」が公表されました。

 この報告書は、公正取引委員会が、独占禁止法上の「優越的地位の濫用規制」及び「下請法違反行為」に対して厳正に対処し、また、違反行為を未然に防止するための取組みの一環として、問題となり得る事例が見受けられる取引分野(主に製造業に関するもの)について、取引の「実態調査」を実施した結果をまとめたものです。

<転載元>公正取引委員会「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書の公表について」
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/jun/190614.html

「知的財産の無償譲渡」など、多くの問題点が明らかに

 報告書によると、調査結果として、具体的に「ノウハウ開示の強制」、「名ばかりの共同研究」、「特許出願への干渉」、「知的財産の無償譲渡(移転)の強要」といった、ノウハウ・知的財産権に係る「優越的地位の濫用」規制上で問題となり得る様々な事例が報告されました。

 また、報告書の中には、知的財産権に係る取扱いを確認するための「契約時のチェック体制・不安感等」という項目もあり、書面調査に対する回答数のうち、社内に「チェックする担当者がいる」と答えた企業は、大企業(資本金3億円超の企業)では約57%にのぼりましたが、中小企業(資本金3億円以下の企業)では約18%にとどまりました。

公正取引委員会の対応

 今回の調査結果を踏まえ、公正取引委員会は、「経済産業省・特許庁と連携し、製造業全体に参考事例集を含めた調査結果の周知」と「引き続き優越的地位の濫用行為等の情報収集に努め、違反行為には厳正に対処する(下請法違反行為については、中小企業庁と連携して厳正に対処する)」としています(違反事業者名の公表のほか、排除措置命令や課徴金納付命令の対象となり得ます)。

 今回の調査及び報告書の内容は、主に特許など「産業財産権」に関するものでしたが、著作権についても、「著作権移転の強要」や「移転対価の不払い」など、当調査報告に類似する「優越的地位の濫用事例」が想定されます。

 「知的財産権に関する契約条項」は、契約書面に記載される分、「権利移転の強要」など、違反行為も明らかです。

 企業規模にかかわらず、知的財産を扱う(コンテンツビジネス行う)企業においては、こうした契約条項の意味や適否を「正確に理解」し、かつ、「相手方に適切に説明し、又は是正を求めることができる」という、知的財産に関するチェック担当者(知的財産管理技能士やビジネス著作権検定合格者等)の育成・設置が、今後ますます重要であると考えます。(塩島)

★関係する過去のトピックス「印刷物の製作委託と著作権移転」はこちら 
https://www.biz-shikaku.com/mincho/topic/1517

★「著作権移転と著作者人格権不行使特約」など、契約上の著作権条項を正しく理解するためには、「ビジネス著作権検定」がお勧めです。詳しくはこちら 
→ https://www.biz-shikaku.com/mincho/certification

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