【3分で読める!】<無料講座>YouTuberのための著作権(第5講)

「YouTuberに関係する著作隣接権とは?」

1.著作隣接権とは?

 前回、動画や写真、音楽など「著作物」を創作した著作者に自動的に発生する「著作権」についてお話ししましたが、今回は、動画に出演した実演家などに自動的に発生する「著作隣接権」について講義します。
 著作隣接権は、著作権と同じく財産権ですが、著作物を創作した著作者ではなくとも「著作物を広く社会に広める役割を果たす一定の者」に認められる権利です。

 具体的に、著作隣接権が認められるのは次の4者であり、いずれも、これらの地位を得るのに「プロダクション・事務所への所属」や「届出」など手続は一切不要です。

①実演家 実演を行う者 →歌手、俳優、演奏家、指揮者、舞台演出家、お笑い芸人、大道芸人、マジシャンなど。
②レコード製作者 音楽に限らず、効果音や自然界の音など「音」のマスター(原盤・音源)を製作(録音)した者 →個人でも該当し得る。
③放送事業者 テレビ・ラジオで業として放送を行う者 →いわゆる「放送局」
④有線放送事業者 業として有線放送を行う者 →ケーブルテレビ局、有線音楽放送局

 このうち、「実演家」は、必ず個人であってプロかアマチュアかを問いません。したがって、ユーチューバーの皆さんが、台本を下に「お笑いネタ」を演じ、「歌」をうたい、「音楽」を演奏し、又は「踊り」を披露した場合には、いずれも「実演」に該当し、自動的に「実演家」となり著作隣接権が発生します(注)。

 一方、「著作権」と「著作隣接権」は異なる権利です。
 したがって、「自分のネタや音楽」を実演する場合には、皆さんは「著作権者かつ著作隣接権者」となり、すべての権利を「1人じめ」できますが、「他人の著作物」を利用して(公に)実演を行う場合には、前回学習した著作権のうち「上演権」や「演奏権」の問題となり、当該他人から許諾を受ける必要があります。

(注)スポーツ(競技)としての演技をしても、実演家とはなりません。

 

2.著作隣接権の内容

 著作隣接権者には、著作権法上、それぞれ次の著作隣接権等が認められます。

実演家

①録音権・録画権 →写真撮影を含む「複製権」はなし。
②放送権・有線放送権 →ライブを放送する権利
③送信可能化権 →ライブをインターネット配信する権利
④譲渡権 →実演を収めたCDDVDを販売する権利
⑤音楽CDを利用して放送した放送事業者・有線放送事業者から二次使用料を受ける権利
⑥音楽CDの貸与権 →レンタルする権利
⑦実演家人格権(氏名表示権と同一性保持権)など

レコード製作者

①複製権 →音を収めたCDを複製(増製)する権利
②送信可能化権 →音源を利用してインターネット配信する権利
③譲渡権 →音を収めたCDを販売する権利
④音楽CDを利用して放送した放送事業者・有線放送事業者から二次使用料を受ける権利
⑤音楽CDの貸与権など →レンタルする権利。

放送事業者

①複製権 →放送を受信して録画等する権利
②再放送権・有線放送権 →中継して放送(有線放送)する権利
③送信可能化権 →放送を受信してインターネット配信する権利
④テレビジョン放送の伝達権 →パブリックビューイングをする権利(大画面の街頭テレビによる)

有線放送事業者

①複製権 →有線放送を受信して録画等する権利
②放送権・再有線放送権 →中継して放送(有線放送)する権利
③送信可能化権 →有線放送を受信してインターネット配信する権利
④有線テレビジョン放送の伝達権 →パブリックビューイングをする権利(大画面の街頭テレビによる)

 このように、ひとことで著作隣接権と言っても、著作隣接権者ごとに様々な権利が規定されており、著作権と同様に許諾権を伴う著作隣接権のほか「二次使用料を受ける権利(事前の許諾は不要であるが、後で使用料を請求できる権利)」や「実演家人格権」も規定されています。

 このうち、ユーチューバーの皆さんは、特に「実演家」と「レコード製作者」の権利に注意する必要があり、例えば、自身の実演を録画するのではなく、「他人の実演を録画する場合」には、「実演家の許諾」が必要となるほか、カラオケなど、その動画に他人の音源を使う場合には、「レコード製作者の許諾」も必要となります(特にインターネット配信=送信可能化を伴う場合)。

 なお、前述のようにスポーツの演技などは文化的所産ではないため、原則として実演に含まれず著作隣接権は発生しませんが、その動画撮影には、大会・イベントなどを管理する「主催者・興行主からの許諾」が必要となる場合があるので、注意が必要です(塩島)。

 

 

※次回は、「YouTuberに関係する自由利用規定」について講義します。